デザインと食を柱に未来を拓き、人と自然の共栄を追求する挑戦者。
はじめまして、嶋津和久と申します。1998年にア・ファクトリーに入社し、制作から営業まで幅広く経験。COMME CA DU MODEやMACKINTOSH PHILOSOPHYなどの多様なブランドの店舗づくりを通して、空間デザインの奥深さを学びました。2011年に株式会社ハイブを設立。店舗内装事業を中心に、ライフスタイルショップ85の運営や食品製造事業など、多角的な事業展開を行っています。とくに、環境に配慮した事業展開を重視。全国の商業施設で85[ハチゴウ]ブランドの展開や、「meets NAKAGAWA」という北海道の自然を生かした商品づくりに注力しています。「人を想い 自然を想い 豊かに健やかに共栄できる環境の創造」が事業のモットーです。
嶋津 和久の強み
私の強みは、店舗内装のデザインと施工における豊富な経験と、環境への配慮を大切にしたバランス感覚あるアプローチ力です。多様なブランドの設計・施工・立ち上げを通じて、顧客のニーズを捉え、魅力的な空間を創るスキルを磨いてきました。現在は、ライフスタイルショップ85の運営や食品製造事業など、多角的なビジネスを展開しています。人と自然が調和する空間づくりを目指し、子どもたちが生きていく未来のため、持続可能な社会の実現に貢献することが私の使命です。
人と自然の調和を軸に事業を展開。信念を持ち続け、内装にとどまらず多方面に挑戦して目指す未来とは?独自の価値を生み出す哲学と情熱に迫ります。
私がこの道を選んだきっかけ
「自分の手で何かを作るのが好きでしたね」。
幼少期からの物づくりに興味のあった嶋津社長。内装・デザインの世界に足を踏み入れるのは自然なことだった。
今もその仕事に携わっているものの、そもそも当初は独立を考えていたわけではなかった。むしろ違う道を選択しようとしたことがある。
内装・デザインの仕事は楽しさもありつつ、身体や精神をすり減らし、家族との時間も思うように持てなかった。そんななかで恩師・中川誼美さんとの出会いは、生活の質について深く考えなおすきっかけになった。
「実は別の事業に恩師から誘われて、内装・デザイン会社を退職したんです。でも退職の翌日に東日本大震災が起きて、計画が頓挫してしまったんです」。と打ち明けてくれた。
新しい道に踏み出そうとしていたところ、天災によって状況が一変したのだ。
「内装・デザイン業への復帰は、自分たちの生活を考えると現実的な選択だった」。
未曽有の大混乱のなか、「何かやるなら、仕事出す」と過去の顧客から声をかけてもらった。また、かつて退職した会社の社長も「元従業員が食いっぱぐれるぐらいなら」と内装・デザイン業での独立を快く応援してくれた。周りの支援が内装・デザイン業復帰への後押しとなったと述懐する。
こうして数々の縁と機会に恵まれ、株式会社ハイブが誕生した。
仕事をする上で大切にしていること
「前職で培った良い制度や文化は積極的に採り入れています」。
例えば、前職が時間に厳しかった経験から、遅刻についての意識は非常に高く、その重要性をスタッフにも求めている。
その一方で、「出勤時間に関しては、ある程度自分の采配に任せるようにしています」と自主性を重視したマネジメントも心掛けていると教えてくれた。
また、「毎朝の10分間のお掃除」の文化も大切にしていると社長は続ける。
社員一人ひとりが、自分のペースで効率良く働ける環境を提供することで、結果的に会社全体のパフォーマンスが向上すると考えている。
自身の働き方のベースは前職の経験にある。その経験を肯定的に受け止め、良いところは積極的に採り入れる姿勢なのだと話してくれた。
今抱えている課題
社長に現在の課題について尋ねると、時間管理の問題を挙げた。
「アナログな業務の部分も目立っている状況。デジタル化する部分がまだ多くて」。と効率化の余地が大いにあることを打ち明けてくれた。
たとえば、見積もりの際に紙に定規を当て数量を測るような作業がいまだ多くの時間を奪っている一例だという。
時間短縮の方法・デジタル化の方法を模索するなかで、建築にもITにも精通している会社とともに子会社「ドットハニカム株式会社」を設立し、業務のIT化・DX化を推し進めている真っ最中だ。
「効率を上げたり、作業を減らしたり、時間を減らしていくっていうことを掲げてやってますね。」とその声は明るい。
また、そうした変革を社内に浸透させるには、社員にも理解をしてもらうことが大切だ。
「自分で実践してそれを結果として出さないと。それが一番ダイレクトに伝わるかなと思ってます。」
変革はトップの「実践」から。それがハイブという組織を前進させる流儀だ。
未来の展望
株式会社ハイブの理念は、「人を想い、自然を想い、豊かに健やかに共栄できる環境の創造」にある。
「今、北海道の中川町で食品加工施設を開設して新しい事業に取り組んでいます。この町は自然が豊かで、僕らの理念を体現できる場所だと感じました」と、新たなプロジェクトに胸を躍らせる。
北海道・中川町との出会いは、ハイブが手掛ける発酵をキーワードにしたブランド「85[ハチゴウ]」から生まれた。
初めて嶋津社長が中川町を訪れたとき、その豊かな自然、そこに住む人たちの自社の理念との共鳴を感じた。
中川町でのプロジェクト「meets NAKAGAWA」は、現地の魅力を生かした商品を開発するもので、他社との共同プロジェクトでもある。
「今年の6月から7月をメドに、現地の資源を活かしたピクルスの商品を市場に送り出す予定です」。と、具体的なスケジュール感も話してくれた。
このプロジェクトは、持続可能な社会への貢献も視野に入れ、企業としての価値をさらに高めることになる。
今後会社として目指すのは内装だけに留まらない事業の拡大。
「内装業を越えて、理念に基づいた様々な活動をフロンティア企業として発信していければ」と未来を見据えている。
まとめ
幼少期からの物づくりへの関心が、嶋津社長を内装・デザインの世界へと自然に導いた。しかしその道程は平坦ではなく、恩師との出会いを経て食育事業を志すも、東日本大震災により計画は頓挫した。家族のため、そして「何かやるなら」と声をかけてくれた顧客や元上司など、多くの人の縁に後押しされ、結果的に内装・デザイン業で独立を果たすことになったのだ。
仕事においては、前職の良い文化、例えば時間への意識や清掃習慣などを大切にする一方、スタッフの自主性も尊重する柔軟な姿勢が見られる。現在は、長年のアナログ業務からの脱却、すなわちデジタル化による効率アップが大きな課題である。これには建築とITに精通するパートナーと共に子会社を設立し、自ら実践しながらDXを推進している最中だ。
そして「人を想い、自然を想い、豊かに健やかに共栄できる環境の創造」という企業理念に基づいた挑戦が、「meets NAKAGAWA」として結実するところだ。内装業の枠を超え、理念に基づいた新たな価値を地域と共に創出しようとしている。幾多の転機を乗り越え、人との繋がりを力に変え、未来へと挑戦し続ける社長の姿は、確かな信念を感じさせる。